「……ねぇ、先生?」
「ん〜? 何、サクラ?」
任務終了後、サクラはツカツカとカカシの元へと歩み寄ると、カカシが大事そうに抱えているノート≠轤オきものを指差し、
「……それ≠チて、いったい何なんですか!?」
そう、語気も荒く尋ねた。
その後ろからは、サスケが慌てたようにサクラを止めようとしていたのだが、それも間に合わず、一人よく解っていないナルトがポカンと見守る中、サクラは不機嫌そうにカカシへと詰め寄ったのであった。





『カカシの日記』 2





「ん〜? ああ、これ? これがどうかしたの?」
「どうもこうもないわよっ!! 先生、それに何か、私の悪口でも書いてるんでしょう!? いっつも、こっちを見ては、笑いながらそれ≠ノ何か書いてるの、私知ってるんだからね!」
そう、どこか怒ったような顔で言い募るサクラを、カカシは楽しそうに見やると、
「別に、サクラの悪口なんて書いてないよ」
そらっとボケた口調でそう応えた。
「嘘ばっかり。 じゃぁ、いったい何を、いつもいつもいつも、い〜つもっ!書いてるって言うのよ!?」
「ん〜。 それはね〜。 ……サクラ、知りたい?」
サクラの問いに、瞬間、カカシの眼が妖しく煌く。
「勿論よ!」
だが、当のサクラはそんな事には一向に気付く事も無く、
「だってねぇ! こっちは……」
「――止めろ。 サクラ……、その辺にしておけ」
カカシの問いにサクラは勢い良く頷くと、更に何事かを言い募ろうとしたのだが、突然、割って入ってきたサスケにその言葉を遮られてしまった。


「さ、サスケ君!?」
驚いて後ろを振り向けば、いつも以上に険しい顔をしたサスケが直ぐそこにいた。
「……サスケ君? ……どうしたの?」
その表情に疑問を持ったサクラが、訝しげにそう問い掛けるが、サスケはずっとカカシの方を睨んだままで、サクラの方を見ようとはしない。
「ほ〜お。 サスケも先生に何か用なのかな〜?」
そんなサスケに、カカシは意味ありげな笑みを向けると、
「で、サクラ? 本当にこれ≠ェ何だか知りたい?」
サクラの目の前で、例の日記をちらつかせた。
「え? あ、ええ! だから、最初っから私はそう言って……っ!?」


「……サクラ、さっき、ナルトがお前の事を呼んでたぞ」
例の日記をちらつかすカカシの近くへと、サクラが寄ろうとした時、突然サクラは、サスケによって身体を後ろへと引っ張られた。
「え?え? ナルト??」
「兎に角、お前はあっちへ行ってろ。 ……ここにいると、危険だ」
「え? サスケ君、何言ってるの?」
いきなりそのような事を言われ、何が何だか訳が解らないサクラ。
だが、勿論サスケがその理由を言うよう事は無くて。
「……ちょっと、術の事で訊きたい事があるんだが……」
ボソリと、物凄く不本意そうにサスケはカカシに質問すると、そのままサクラを自分の背中へと隠した。
「ええ? 術って、サスケ君、何訊くの?」
その後ろから、サクラがしきりに顔を出そうとするが、
「いいから、お前はあっちへ行ってろよ」
「何でよ〜! 私だって、聞きたいわよ」
サスケがサクラの邪魔をして、カカシの方へと近づけないようにする。


「……サスケ……」
その時、ボソリと地の底を這うような、低い声が聞えた。
しかし、サクラがその声に訝しむ間を与える事無く、発生源であるカカシは瞬時ににっと笑みを浮かべると、
「そうだな、サクラ、これ≠ノついては、また今度な」
何事も無かったかのようにして、サクラにそう言った。
「え〜! 先生、じゃぁ、今度っていつよ〜?」
そのカカシの言に、サクラが不平を唱えると、
「ん〜。 そうだね〜。 あ、そうだ、サクラと二人っきりの時に、そっと教えてあげるって言うのはどうかな〜?」
瞳の奥に妖しげな光りを煌かせながら、カカシはそう言うと、サクラにニヤリと笑い掛けた。
「? 何それ?」
それに、ポカンとしたようにサクラが可愛らしく小首を傾げて見せた。

「……もういい、行くぞ」
「えぇ!? さ、サスケ君!?」
そんなサクラを、サスケは一度、カカシへと鋭い視線を投げ掛けた後、半ば強引に引きずるようにして、無理矢理その場から連れ去って行ってしまった。


「おやおや。 そんなに焦らなくてもいいのに。
 これだからサスケでからかうのは面白いんだよね〜」
そんなサスケの様子に、カカシは意地の悪い笑みを浮かべると、そっとその日記を開き、何事かを書き出した。
「……でもね、サスケ君?
 ――余り、あからさまな態度に出るのも、先生はどうかと思うんだな。 うん。 余り、さ。オレの邪魔をすると……。
 ――先生、怒っちゃうよ?」
瞬間、周囲の気温が一気に滑降し、ナルトがビクリと身体を震わした。
そしてその後、パタンと開いていたページを閉じると、
「さてさて、ではオレもまた、この日記の続きを書きに行くとしましょうかね」
カカシはにっこりと、嬉しそうな笑みを浮かべると、さっとその場から消え去ったのであった。





◆◇◆◇◆◇◆◇◆






後には、先程からその存在を無視し続けられていたナルトが唯一人、ポツンとそこに残されているのみ。
「……いったい、何だったんだってばよ!?」
ついさっき、カカシが放った殺気に未だ固まったまま、ナルトがポツリとそう呟くが、それは誰の耳にも届く事は無く、ただ虚しく、吹き荒ぶ風と共に消えて行ってしまったのであった。






+言い訳+
……何がなんやら。書いた本人自身、いったい何が書きかたかったのかよく理解できてはおりませぬ。(爆)
あ、はははは〜。(汗)
多分……、下地は『カカシのサクラ観察日記』から来てると思うんよね。うん。
ま、あれだ。ようはカカシvsサスケ→サクラが書いたかったんだ。うん。で、結果が、この、
なれの果て≠ネんだな。(爆)
ポイントは、一人何も解ってないサクラ嬢&無視され続けのナルトくん。(苦笑)


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