嫉妬心(アンナサイド)



あたしの旦那は、世界一優しくて強くて格好良くて。
まさしく、シャーマンキングになるべく、選ばれた男。
ちょっと緩かったりもするけれども、何処に出したって、自慢出来る、
あたしの自慢の旦那様。



でも、だけど。



あいつの、あの優しさが偶にキズなのよ、ね……。
あたしの旦那様は、敵味方無く、誰にも分け隔て無く優しい。
そう、分け隔て無く=B
その中には、やっぱり、女≠煌ワまれていて。
あいつは躊躇わずに直ぐに笑顔と共に、救いの手を差し伸べる。


あいつは、きっと知らない。
誰かにその手を差し伸べる度に、そして、その笑顔をあたし以外に向けているのを見る度に、
あたしがどんな想いをしているのかを。



遠い昔に、あいつはあたしに手を差し伸べ、そして、この世界(外)≠ヨと導いてくれた。
それまでずっと、己の殻にばかり閉じこもっていたあたし。
その瞬間、あたしには、『葉しかいない』と思えたのに。
葉となら、頑張って行けると、そう思ったのに。
なのに……。
一目惚れだと言ってくれた葉。



ねぇ、葉?今でもあたしは、あんたの一番でいるの?



この東京へ出て来てから、変わったあたしの旦那様。
昔はあたしと同じ、友達も居なければ、鬼子≠ニ言って苛められていたのに、
今ではそれは、遠い昔の話になってしまって。
あんなにも明るい顔を見せるようになった。
あいつの周りには、いつでも仲間がいっぱい。
大切な仲間や友達に囲まれて、幸せそうな顔をする、あたしの旦那様。



それに比べて、あたしには相変わらず友達もいなくて。
――葉しかいなくて。
周りにいる連中は、皆、葉を通して知り合った人たちばかり。



――ねぇ、葉? あたしの大事で大切な旦那様? あなたの心の中にはちゃんと、
今でも、あたしの居場所(そんざい)は在りますか?




葉が、仲間と一緒にいるだけで、嫉妬してしまうあたし。
葉が、まん太と一緒に笑ってるだけで、イライラしてしまうあたし。
葉が、たまおと一緒に買い物をして帰って来るだけで、自分で頼んだにも関らず、
文句を言いたくなってしまうあたし。



そんな醜いあたしが嫌だから、このままだといつか、
昔のあたしに戻ってしまいそうで恐いから、だから……。
強くあろうと思ったのは、いつの日だったか。



葉、葉……。
あたしの、自慢の旦那様。
いつも、へらへらと緩い顔ばかり見せてはいるけれども、いざと言う時には
一番頼りになる、あたしの、かけがえの無い旦那様。
実はかなりの焼きもち屋な事も知ってるわ。
でも、だけどね。


あたしには、あなたしかいないのだから。
だから、いつまでも、ずっと、傍にいてね?
これは、約束。違えられる事の無い。
じゃないと、誰かさんにあたしは攫われてしまうわよ?



あたしのかけがえの無い……。










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